
楳図かずお「ねがい」より、モクメ。
友達が欲しかった小学生の等は、道端で拾った木切れを使い人形を作り、モクメと名づけた。毎日、一点を見つめて願い事の念力をかけ、さわりもしないのにそれが勝手に割れたら、願いが叶う・・クラスメイトの言葉を聞き、モクメがほんとうに動いたらと望む等は、その日から勉強机の電気スタンドを見つめ願いをかけた。(※自作フィギュアの4作目です)
ガールフレンドが出来、モクメが次第に疎ましくなった等。工事現場の埋立て予定地に等はモクメを捨ててしまった。こうしていつの間にか日は過ぎ、モクメの事を等が忘れようとした頃、勉強部屋の電気スタンドが割れた…。
バシャ バシャ
両親が用事で家を空け、等が1人で留守番をすることになった雨の降る夜。
こわいよう!!
きっと、モクメがぼくを殺しにやってくる!!

ガチャ ガチャ
二階のまども雨戸をしめてかぎをかけなくちゃ!!
ギッ
あっ!!
ギギギ
ギギ

モクメ!!
ギギギ
ウワーッ!!

「ねがい」は昭和50年の少年サンデーに掲載。楳図かずお先生の代表作のひとつである長編「漂流教室」が大団円となり連載終了したその翌年に発表され、単行本には「漂流教室」最終巻の巻末に収録されています。
ぼくがモクメをうらぎったからだっ!!
ゆるしてっ!!
なにもかもぼくがわるいんだっ!!
ギギ
ガン
ガン
ボギッ
ゆるしてモクメ!!
だますつもりじゃなかったんだっ!!
バキッ
でも、もうおまえとは友だちにはなれないんだっ!!
おまえがいると、ほかの人と友だちになれないのだっ!!
バキッ

そして、
子どものころの
このすばらしいねがいは、
もう二度と奇跡を呼び
起こすことはないだろう。
恐怖から開放された後の、透明感のある哀しみを感じさせるエンディングのナレーション。天井裏や物陰に潜む、まるで猫目小僧やおろちそのものの様な、楳図かずお先生のクールな目線が切ない。「ねがい」は楳図先生の、まさに全盛期中の全盛期に描かれた珠玉の短編作品です。
自作フィギュアの4作目。モクメのフィギュアというと限定品の小さな携帯ストラップあたりしかない様で、モクメの振り向き3コマの写真をどうしても撮影したかったので(笑)自分で作ってしまいました。

夜中に1人黙々とモクメを作っていると、自分が友達のいない等くんになった気がします(笑)。しかし友達人形を作るつもりでこのモクメのデザインは…、等くんはどういう美的センスを持っていてこうなったのでしょうか(笑)。
では前回からの改善点と、反省点のメモ。
【前回からの改善点】
・ヒジとヒザの関節を若干曲げて、ややアクションをつけてみた。前作の「死神デース/赤塚不二夫」アップ時に、動きのあるキャラクターがあれば見てみたいとリクエストを頂いたので控え目ながら挑戦しました。ヒジ内側のしわ等、自然な感じに出来たと思うが、もっと派手なポーズだとどうなるかはまだ予測出来ず。
・ハーティークレイで歯と髪を作った。この歯の余りを、アタマだけほぼ同時進行で作っていた「死神デース」のヒゲに流用した(笑)。
【今回の反省点】
・完成した後に楳図先生の原作と比較してみると、モクメの目には優しげな表情があるのに気づく。作る事に集中していて、表情を掴んで似せるところまで意識と技術が及んでいなかったかな。
・色付き粘土を混ぜて捏ね、自分好みの色を作るモデルマジック。白粘土ばかりがガンガン減っていきそろそろヤバそうだったのだが、等くんの勉強部屋の椅子の背もたれを作った時点でとうとうアウト。なので椅子は背もたれしか作っていません(笑)。通販とかで白粘土買い足したらちゃんと完成させますので、許して下さい(笑)。

ねがい/楳図かずお
少年サンデー 昭50
少年サンデー 昭50